芭璃旅後記 -画家たちを訪ねて-
I MADE MARIASTA
Sebali村の棚田を見に出かけ、いつもの巨木の下にバイクを駐めると同時に、後ろから声がかかった。絵描きのMadeさんだ。「まあまあコピ(コーヒー)でも!」と誘われ、田圃を見ながら米菓子のJaja gineをかじりながら話す。今、庭に家寺を建設中で何かと資金が必要らしい。ということで、少しでもその足しになれば、と小さな絵を購入。海にバリ島の形の森が浮かび、その森の中には人々の暮らしが細密に描かれている。
KETUT JAYA KAPRUS
Ababi村に移動する日にDenpasarの彼のアトリエを訪ねた。12月の個展に向けて制作中の作品が所狭しと並んでいる。今年5月には、Ubudのプリルキサン美術館でのRuwat Bhuana Exhibitionに10人の画家に選ばれた。Ababi村でも実家のアトリエを訪ね、丘からAmrapulaを見下ろす風景を描いた水彩画を購入した。絵の向こうから風が吹き上がってくるようである。
"The Keeper" 110x90 Mixed on canvas 2015 Ruwat Bhuana Exhibitionに出品
NI TANJUNG
三年ぶりなので、元気かどうか心配していたが、私たちが訪れると上体を起こし、歌い踊り始めて歓迎してくれた。最近、彼女の作品は、スイスのCollection de l'Art Brut à Lausanneに所蔵された。この日手渡したクッロキー帳を開くと、クレパスで顔を描き始める。何度も彼女を訪問しているが、実際に描くところを見るのは初めてである。時々、手鏡越しに辺りを見渡す。耳が遠くなってきていて、Kaprusの質問には答えず勝手に喋りまくる。そろそろ帰ることを告げると、子供が拗ねているようにうなだれて元気がなり、握手にも力が入らない。