SSブログ

Snapshot -調布-

京王線調布駅が地下に潜って、昔住んでいたこの街の風景がまた変わっていくようだ。都市開発は、駅の近くに大きな商業ビルができると、そこから周辺に向かってアメーバ状に広がってゆく。緑豊かな土地も容赦なく食いつぶして…。
線路の沿って歩いて行くと、新設された駐車場やアパート群に挟まれて、昔ながらの農家の庭がある。梅や桜、椿にミカンと、様々な樹が茂り、その下でおじいさんがプラケースに座って日向ぼっこ中。

b_SDI4069.jpg

田舎の庭にある梅の剪定見本にと、きれいに切り揃えられた枝振りを見せてもらう。もう蕾が膨らみ始めている。ピラミッドの山は、切り取った枝を粉砕したもので、これはまた土に戻すらしい。
おじいさんが僕を手招きして、突然「ちょっとここに座って待ってろ」と言い残してスタスタと奥へ消える。言われたようにプラケースに座る。足元が当たり前に土なのがうれしい。電車が走り過ぎると、あたりは静かになってなんとものどか。木々に囲まれた景色はどこかの田舎に居る気分。

袋を持って帰ってきたおじいさん。「庭になった柚だ。持っていきな」と手渡される。

bSDI4063.jpg

b_SDI4078.jpg

聞けば今年八十九歳。僕が「家まで歩いて帰る途中です」と言うと、「歩くのが一番さ。我が家の敷地は玄関から道路までちょうど250歩なので、計算が楽でいいよ!」と笑う。「昔、中国の大地を歩兵として歩き回ったから、今考えれば、それで足腰がしっかりしているのかも知れねいなあ」とおっしゃる。

nice!(1)  コメント(2) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。