さよならパーティー
三時半、招待された家族を伴って図書館に入ると、そこはすっかり僕の定年退職記念パーティー会場となっていた。それもバリっぽくディスプレーされ、僕の写真集からのコピーがあちこちに展示されている。ガメランが流れる中、様々なごちそうが運ばれてくる。
先生、スタッフ、友人等が三々五々集まって来て、スライドショーが始まる。誰が提供したのか、ロン毛の若かった時の写真が映し出され、数十年前を懐かしく思い出す。続いて様々な学校生活の写真に僕の顔が貼り替えられ、当時のエピソードが面白可笑しく語られる。それを見て孫が「じーじ!」と大声をあげる。そして今朝も車の中で聴いていたJ-WAVEのあの声で僕宛のメッセージが流れ、就任して半年が過ぎ、貫禄のついたKazからのビデオレターが続く。
灯りがともり前に立つと100名近い方がみえている。お礼の後、こちら側から皆さんの写真を撮る。大きな拍手とたくさんのsmileをありがとう!
お礼に学校の四季を撮ったカードを差し上げる。
やっと片付けが終ったオフィスのデスクに、バリの木彫りを挨拶代わりにそっと置いて出て来た。
そう、ASIJ (The American School in Japan)を並べ替えるとSAJIになります。
SIGMA DP1x
最後の暗室レッスン
夏休み前に一人の生徒が「フィルム現像をやりたいのですが…」とやってきた。この十年以上、デジタルカメラになってから、僕以外に暗室を使うことはなく、珍しい生徒もいるもんだ、とフィルムの巻き方から現像までざっと教えてあげた。
その生徒が久しぶりにやって来た。肩にはNIKON FEを下げている。「3本撮ったので現像できますか?」と言う。実はこのところの片付け作業で暗室内も随分いろいろな物を捨てた後なのだが、折角なので、T-maxの希釈現像液を用意し、他の薬品もシンクに並べた。
片付け中にでてきたTIME-LIFE社の「プリント」編を見せながらおさらいし、電気を消す。僕が一本巻き終わってしばらくして彼も終わる。もう一本が途中でうまく巻けずギブアップの様子。僕の手に渡してもらい手探りで調べると、巻きはじめでリールの溝から外れているのを確認。結局僕が始めから巻き直すことに。こればっかりは慣れるしかない、といっても暗室はもうなくなってしまい、今日がラスト・レッスンなのだ。
彼が最初に巻いたフィルムは途中でくっ着いていて、何コマか現像されていなかったが、ますますフィルム現像に興味を持ったようだ。「残念ながらちょっと遅かったね。もう少し早く来たらプリントまで教えてあげることができたのに…」退職三日前に訪ねて来てくれたお礼にNIKKOR 135mm望遠レンズを差し上げる。
様々な物の間から古いポラロイド写真が出て来た。部屋の様子と髪の長さから見て勤め始めて間もない頃撮った写真の様だ。この頃、僕の英語力の弱さをカバーするために、数人の日本人高校生が部屋でたむろっていた。苦手な電話を取ってもらう代わりに漢字を教えてあげたりしていた。みんな今では出世して、KazはS社の副社長、JonはディスクジョッキーだけではなくTVでもよく見かける。あの頃小学生だった子が親になって、子供の参観日にやってくるの見ると、35年の長さを実感してふと溜息が出る。
カウントダウン
今月末をもって定年退職です。
なんと35年間勤めたことになります。で、デスクの周りに私物が堆積していて、先週から断捨離中。ただでさえ狭い我が家に、できるだけ持ち帰らないよう仕分けしている。VHSテープはDVDに変換し、ネガは必要なカットだけ抜き取り、学校で使ってもらえるものは差し上げ…と。暗室の引伸ばし機(MINOLTA製)と現像機材はやっぱり処分できないな。
SIGMA DP2x
Snapshot -調布-
このところ使わなくなってしまったフィルムカメラとレンズを処分し、代わりに迎えたのがRICOH GXRとA12マウントのデジタルカメラ。このマウントにはライカのMマウントレンズ群が装着できる。毎日あれこれ付け替えては光を入れ、それぞれのレンズの味を楽しんでいる。今日はCONTAX T2から取り出し、Mマウントに改造したCarl Zeiss Sonnar 38mm。
RICOH GXR + SONNAR 38mm
Snapshot -吉祥寺- / PALERMO SHOOTING
SIGMA DP1x
威勢のいい掛け声に合わせて神輿が練り歩く中、アーケードのはずれにある映画館「吉祥寺バウスシアター」で上映中の"PALERMO SHOOTING"を観に出かけた。ヴィム・ヴェンダースの作品(2008)で、生と死、現実と夢、デジタルとアナログ…の混沌に、様々な音楽が絡み合う。去年他界したデニス・ホッパーが渋い。今月25日までの上映で、毎晩21:00からの最終上映は、ライブ用の大音響設備による”爆音レイトショー”となっている。
渥美窯作陶展
僕の故郷渥美で、土地の土を使い、土地の松を焚いて焼き物を作り続けているグループがある。友人が上京しているというので新宿・紀伊國屋画廊へ会いにゆく。素朴で力強い器と一輪挿しを購入。六日(火)までで、即売コーナーもある。
台風はゆっくり四国を北上中。新宿も時折雨が降り、強い風が吹いている。
SIGMA DP1x