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滞院だより 2016.5.27

 病院での消灯時間は9時。自宅ではいつも遅くまで起きているのでなかなか寝付けない。
昨夜はi-Podに入れてきたバリ島での音源を聴いた。随分前に現地で録音したものだ。
 田舎の村では、夜になるとどこからとも男たちが集まってきてガメランの練習が始まる。小さな村なので立派な楽器では無いが、それぞれが決まった部処に座る。背の曲がったウキル爺さんが最後にやって来て、縁台によじ登る。彼の持ち場は銅鑼である。出番こそ少ないが彼が座り落ち着くと、タイミングを見計らったように、ディローン〜と始まる。
 何とも物悲しい音色が辺りの闇の中に漂い広がってゆく。時々バイクがけたたましく通り過ぎ、犬の喧嘩も始まる。観光地や寺院での公演のような派手さやテクニックは無いが、なぜかカラダの奥に響き入り、やがて私の意識も深い闇の中に落ちてゆく。

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病院では同時進行で放射線治療も行っている。こちらは何も感じること無く10分程で終わる。「裏表2箇所の照射ですか?」と聞いたら、「そう、グリルでお魚を焼くのと同じ様に満遍なくねっ。」と明瞭なお答え。
この照射時の赤いガイド線が「母」に読める。隅っこに小さく「命」って入れようかな。
母は時々「あちら」と繋がったりする人だった。時には会いに来てくれても構わないよ。

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